英語の本

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随時更新していきます。(  )は追加日です。

Atwood, Margaret. “The Handmaid’s Tale” (vintage)

カナダの現代作家、マーガレット・アトウッドの代表作である。ジェンダー論やフェミニニズムの視点から論じられることが多い本書だが、私は言語研究目的で読んだ。語りの時制と法を考えるために、地の文が現在時制である小説はもってこいであるから。(2024/3/22)

Capote, Truman. “Other Voices, Other rooms”, Penguin Modern Classics

カポーティは最も好きなアメリカの作家の一人である。なかでも、この作家の天才性というものが遺憾なく発揮されているのが本書である。独特の世界観を写し取る英文はやや難しく感じるかもしれないが、じっくり読んで、その凄まじさを感じ取りたい。2023年に村上春樹による新訳が新潮社から刊行された。(2024/3/22)

Capote, Truman. “Breakfast at Tiffany’s”, Penguin Modern Classics

日本でも最もよく知られたカポーティの中編である。Penguin Modern Classics版は表題作の他に代表的短編もいくつか収録されていておすすめである。カポーティの良さは、何より透き通るような美しい文章と、研ぎ澄まされた言語感覚である。それを味わうためには本書を最初に手に取るといい。(2024/3/22)

Capote, Truman. “The Complete Stories”, Penguin Modern Classics

カポーティの短編集である。重要な作品はほとんどすべて収録されている。必ずお気に入りの作品があるはずである。この作家は『冷血』などのノンフィクションも知られているが、やはり最も優れた作品は短編であると私は思う。(2024/3/22)

Carol, Louis, “Alice’s Adventures in Wonderland and Through the Looking Glass”

本書は様々な出版社から古典として出ているが、大抵は『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』が両方収録されている。私はOxford版で読んだ。英語を本格的に勉強するならとにかくいろいろな場面で引用される名作なのでやはり読んでおきたい。表面的な言葉の裏に隠された「ことば」そのものの面白さを発見できるようになったら、一流の読み手となったということである。(2024/3/22)

Dahl, Roald. “Charlie and the Chocolate Factory”

私が洋書を読み始めた最初期に読んでいたロアルト・ダールの代表作である。彼の作品はたくさん読んだ。おそらく最も有名なのはこの『チャーリーとチョコレート工場』である。ジョニー・デップ主演の大ヒット映画は当時の中学生で見ていない人などほとんどいなかった。(2024/3/22)

Dahl, Roald. “Matilda”

ロアルト・ダール作品で私が最も好きなのは、この『マチルダは小さな大天才』である。Louis Sacher の “Someday Angeline” と同じで、こういう子どもの優しさや悲しさに寄り添った作品がなんかいいのよね。(2024/3/22)

Fitzgerald, Scott F. “The Great Gatsby”

やっぱりアメリカ文学で、どこをどう通ろうとも、「ギャッツビー」は外せない。英語を勉強する身としても、海外文学を読む身としても、この作品は避けて通るわけにはいかないのである。英語の多読用として紹介されることも多いが、フィツジェラルドの文章は、英米文学を読み慣れていない人にとって、簡単に読んでいけるようなものでは決してない。一見ライトな小説に見えるかもしれないが、じっくり腰を据えて読むべき作品である。(2024/3/22)

Gannette, Ruth Stiles. “My Father’s Dragon”, Dover Publications

『エルマーの冒険』シリーズ三部作は小さい頃によく読んだ。英語を勉強するようになってこういう作品を原書で再読すると、布団にくるまって読み聞かせてもらったかつての物語世界を別の道を通って再訪するような、なんとも言えない気持ちになる。(2024/3/22)

Hemingway, Ernest. “The Old Man and the Sea”

ヘミングウェイは特段好きな作家ではないのだが、やはり『老人と海』は外せない。ここに挙げているアップダイク、ナボコフ、カポーティと違って、決して技巧的な文章や美しい文章で勝負する作家ではない。しかし、ヘミングウェイはヘミングウェイで、やはり強力な文章を持った作家である。(2024/3/22)

Ishiguro, Kazuo. “Klala and the Sun” faber and faber

カズオ・イシグロの最新作は、AIの少女を主人公にした物語である。ロボットの優しい世界観と、人間と共生する上でのどうしようもない悲しい世界観が交錯し、愛の宿る場所を探す物語が紡がれていく。他のイシグロ作品に比べて、一回り角の落ちた易しい文章で物語が進んでいくのも特徴である。(2024/3/22)

Ishiguro, Kazuo. “When We Were Orphans” faber and faber

代表作ではないかもしれないが、この作品のいいところは古き良き文学的イギリス英語を地の文で堪能できる点である。知性の香りを漂わせつつどこかユーモアが通り抜ける隙がある文章は読んでいて非常に心地がいい。(2024/3/22)

Ishiguro, Kazuo. “Never Let Me Go”, faber and faber

映画やドラマを通して、日本でもよく知られたカズオ・イシグロの代表作である。この作品のメインはやはりストーリーである。謎が徐々に解き明かされていき、最終的に浮かび上がる現実が心に突き刺さる。ぜひあらすじなど読まず、自分で読んでいくことをおすすめする。(2024/3/22)

Irving, John. “The Cider House Rules”

ジョン・アーフィングも私が最もよく読んできたアメリカの作家の一人である。とにかくパワフルな長編を読みたいとき、アーヴィングより面白く読める作家はそういない。本書の最後あたり、500ページ以上読み終えた地点で、学校文法で「クジラ構文」と呼ばれる文が会話中に登場するのだが、その台詞こそこの作品のハイライトである。「クジラ構文」を解説した文法書は多くあるが、この構文が使われるこれ以上の実例を私はまだ知らない。 (2024/3/22)

Irving John. “A Prayer for Owen Meany”

比較的新しい長編で、笑いの量が多い作品である。特に結婚式のシーンは楽しい。それでいてアーフィングらしい Tragicomic の感じも遺憾なく発揮されている。英語も読みやすいのでおすすめである。(2024/3/22)

Irving, John. “The Hotel New Hampshire”

ジョン・アーヴィングの作品で最も私が好きな作品である。ハプスブルク帝国の終焉を経験したオーストリアと、夢に溢れる20世紀のアメリカを舞台に、個性豊かなキャラクターが個性豊かな行動をくり返し、あんな事件やこんな事件を経験していく。もちろん熊も登場する。 (2024/3/22)

Lee, Harper, “To Kill a Mocking Bird”

『アラバマ物語』の邦題で知られるアメリカ文学の人気作である。特に20世紀アメリカの社会史を考える上で重要な作品である。多くの人に読まれてきた名作であるため、ファンも多い。児童書のような体裁を取っているが、決して語彙レベルは簡単ではない点は注意が必要である。カポーティが好きな人なら大体「あのこと」は知っている。(2024/3/22)

Milne, A. A “Winnie the Pooh / The House at the Pooh Corner”

『くまのプーさん』の原作である。私は小さい頃から、この原作もディズニー版も好きで、とにかくよく見た。最初のディズニー版の映画は、それこそ台詞を覚えるぐらいビデオで見ていた。好きなキャラクターはイーヨーである。昔からこれも変わらない。(2024/3/22)

Murakami, Haruki. “1Q84”, Vintage

村上春樹作品は外国語で読むことも多いのだが、特に楽しく読めたのはこの『1Q84』だった。長大な作品だがぐいぐい読ませる。私はVintageから出ている透明のスリーブケースがついた3分冊の版を書店で購入して読んだ。あの表紙もなんかいい。(2024/3/22)

Nabokov, Vladimir. “The Real Life of Sebastian Night”, Penguin Modern Classics

ロシア生まれの作家ナボコフが最初に英語で書いた本格的長編である。私が初めて読んだナボコフ作品でもある。最初に読んだときはわからないことも多く遅々として読解が進まなかったが、読めば読むほど、どこからよんでも発見があり、最終的にナボコフは最も好きな作家の一人になり、サンクトペテルブルクのナボコフ博物館に実際に行くまでになってしまった。(2024/3/22)

Rowling, J. K. “Harry Potter” Book 1-7

私は「ゆとり世代」のまっただ中であり、とりもなおさず「ハリポタ世代」でもある。小学生の時から翻訳でずっと読んできたシリーズだった。最終巻の邦訳が高校1年の時に刊行され、高2の時には全巻をまた英語で読み直した。最も多読にふけっていた時期をやはり、世代の代表作であるハリーポッターと共に過ごしたことは思い出深い。(2024/3/22)

Sacher, Louis. “Someday Angeline” Harper Collins

ルイス・サッカーの本は英語の多読用に “Holes” などが紹介されることも多いが、私が好きな一編はこのアンジェリーンちゃんの話である。知性は悲しい。そして知性は優しい。そんなことを考えさせてくれる話である。(2024/3/22)

Salinger, J. D. “The Catcher in the Rye”

「ライ麦畑」は、何度も読むべき本である。初読のときは、ストーリーと主人公の性格を頭に入れ、2回目以降は文章の細部を徹底的に味わうことである。英語のリズム、文体の妙に思いをはせながら読むことである。(2024/3/22)

Salinger, J. D. “Franny and Zooey”

サリンジャーには他にも作品があるが、饒舌なスタイルを味わいたいなら本書がいい。やはりこの作家は、変わった人物に文学世界の中で生命を吹き込むのがうまい。一見表だって見えてこないが、圧倒的筆力のなせる技である。(2024/3/22)

Updike, John. “My Father’s Tears and Other Stories”, Penguin

アップダイクの小説で私が最初に読んだのが本書だった。この作家は、とにかく私の英語観を根底から覆してくれた。英語のもつ文章表現は、作家の力によってここまで高められるのかと思い知らされたのがアップダイクを読んだ時だった。最初は英語が難しく、当時大学2年だった私は自分の英語力のなさに打ちのめされた。しかしアップダイクの文章はやはり魅力的で、その後も長く定期的に読む作家になっていった。(2024/3/22)

Updike, John. “Rubbit, Run” Random House

ジョン・アップダイクの代表的長編シリーズの第1巻である。この「ウサギ」シリーズで楽しむべきは、細部の描出と、各巻で描かれる20世紀後半のアメリカ合衆国の空気感である。長編ではあるが、細部から目を離してはいけない。ゴルフも、バスケも、とにかくなんでも。(2024/3/22)

Updike, John. “The Early Stories” Random House

ランダムハウスから出版されている、アップダイク初期短編の集成である。膨大な作品数で知られるアップダイクの作品を、手に入りやすい形でまとめてくれている。気に入ったものを探してみるのも面白い。まあ、本自体は持ち運びに苦労する。初出のときから書き換えられている文章も多いので、比べてみるとまた面白い。(2024/3/22)

Vonnegut, Kurt. “The Sirens of Titan” Dial Press

カート・ヴォネガットも好きな作家である。私にとってのベストはこの「タイタンの幼女」である。最初の方は特段面白いわけではないのだが、そこで読むのをやめないこと! 「勇気」を持って、最後まで読むのである。それが本当の知恵である。(2024/3/22)

Vonnegut, Kurt. “The Slaughter House Five” Vintage

ヴォネガットの作品の中でも暗い現実を描き出すブラック・ユーモアのスパイスが効いた作品である。20世紀の忘れてはいけない歴史を、アメリカの良心と理性を背負う作家がどう描くかが見物である。(2024/3/22)

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