【イタリア語発音・完全ガイド】読み方の規則とポイント これで必ず発音できる!

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イタリア語の「音」は、明るく朗らかに響く母音にクリアな子音が組み合わさった、音楽的美しさを持っています。発音規則は極めて明快で例外も少ないので、一通りの規則を頭に入れて練習すればだれでもすぐに発音できるようになります。

今回は、そんなイタリア語の発音の世界をのぞいてみましょう。

※ この記事は、『(旧)やるせな語学』に2020年1月11日に投稿したものに、加筆、修正を加えたものです。

イタリア語の発音の特徴

イタリア語は英語やフランス語など、他のヨーロッパの言語より日本人には発音しやすい言語と言われることがあります。実際イタリア語の特徴を考えてみれば、それも頷けるのは事実です。

イタリア語の発音には、一般的に以下のような原則があります。

  • 母音の基本はI, E, A, O, Uの5つ
  • 綴りと発音は一致
  • 単語は母音で終わる

すべてではありませんが、イタリア語の多くの単語は以上の特徴をもちます。

母音が日本語と同じ5つであるということは、日本人にとってはもっともありがたい部分ではないでしょうか。他の言語でありがちな「アとエの間の音」とか「オとエの間の音」(?!)みたいな説明を目にすることはありません。

文字も明確に音と一致してるので、単語を見たら発音できますし、聴いたらスペルを綴ることができます。

また、イタリア語には英語に無数にある二重子音もほとんど出てこないので、基本的には《1子音+1母音》で一音節をつくります。これも日本語と同じ特徴です。

さらにさらに、イタリア語の単語の多くは母音で終わります。これも、またしても日本語と同じ特徴です。

こういった事情もあって、「イタリア語の発音はしやすい」なんていうのは定説になっていますし、私もそれが間違っているとは思いません。

練習すれば発音できるようになるまでの道はまっすぐと直線で延びています。以下では、その規則に踏み込んでいきましょう。

アクセント

イタリア語のアクセントは、その音を「長く、強めに」発音するというありきたりなものです。

アクセントは通常後ろから2つめか3つめの音節に置かれます。この位置は単語を覚えるときに一緒に覚えないといけません。

強勢母音の後ろに同じ子音が2つ重なった場合は、母音は「あまり長くならず、強く」発音するという感じです。例をどうぞ。

  • mamma (ンマ)
    ママ

それ以外の通常の強勢は、「長めに、強く」というのがイタリア語の読み方です。

  • sole (~レ)
    太陽

長めに強く、さあ、青空に向かって両手を広げて歌うように、「ソ~レ」です。棒読みで「ソーレ」ではなく、「ソ~レ」です。(違いを感じてください。オ~・ソ~レ・ミ~オ♪)

この伸びやかなアクセントは「イタリア語らしく聞こえる」ための重要なポイントです。

数は少ないですが、一番最後の母音にアクセント記号がつくと、その音節に強勢を置きます。この場合は、母音は「強く」だけで、あまり長くはなりません。最後の母音を強く読むというよりも、逆転の発想で「それより前の音節にアクセントを置かない」と意識するとそれっぽく聞こえたりします。

  • felicità (フェリチ)
    幸福
    ※「フェリ~チタ」と読まない。

イタリア語の母音

基本の母音

イタリア語の母音は日本語と同じ5つの母音を基調としています。

とはいっても、言語が違うとやはり表記上は一緒でも言語の「音色」みたいなものは変わるのが実際のところです。

イタリア語の母音を発音するときは、日本語よりも口を大きく動かして、特に口の中の空間を大きく保ったまま発音することを意識しましょう。

イラスト中のアルファベットの位置は、その音が鳴っている大体の位置を示しています。日本語と違って、口を大きく動かし、その結果、音を出す位置が口の中で変化しているのを感じましょう。

図を見ると、IとEが口の前の方で鳴っているのに対し、A, O, Uは口の後ろ半分で鳴っています。この違いは後々大切になってくるのでなんとなく頭に入れておいてください。

  • I, E
    →口のの方で鳴る母音
  • A, O, U
    →口の後ろの方で鳴る母音

I(イ)
日本語の「イ」より口を横に引っ張る感じで出しましょう。はっきりした音です。

E(エ)
短母音の「エ」は割と日本語の「エ」に近いのですが、日本語より口を大きく開けて発音することを意識しましょう。

A(ア)
日本語の「ア」より、口の中の天上を上げる感じで。明るくはっきりした「ア」です。

O(オ)
口を突き出して発音します。「ア」の口の空間をつぶさない感じで口を突き出す感じです。タマゴを口に含んだような感じで発音しましょう。

U(ウ)
口をさらに突き出します。口の中の空間はつぶさないよう意識しましょう。日本語の「ウ」とはずいぶん違う音になります。音が鳴る位置は口の奥の方です。

実際のイタリア語を読んでみましょう。

  • fine (フィーネ)
    終わり
  • bella (ベッラ)
    美女
  • gatto (ガット)
  • notte (ノッテ)
  • luna (ルーナ)

どの単語も、アクセントのある母音は口を大きく動かして、はっきりとした明るい音で読みましょう。

ご覧の通りですが、基本的にはイタリア語の読み方はローマ字読みと同じです。fineなんて、英語だと「ファイン」というローマ字とはかけ離れた読み方ですが、イタリア語では見たまんま「フィ~ネ」です。

  • イタリア語は見たまま、ローマ字読み風に読むことが多い
  • 母音は口を大きく動かし、はっきりと明るく

母音には、突き詰めると長目に読んだりするときや、アクセントの有無で違った音色があるのですが、最初の段階ではそこまで気にすることもないと思います。実際にイタリア語を聴いてみると、「アクセントがあって長めに発音するE」はちょっとだけ「イ」の音に近くなったりする話者も多いのですが、それは意思疎通不可能なレベルでの齟齬を生むわけではまあありません。

それぞれの母音を日本語っぽい「省エネ」発音(あまり口を動かさない発音)から抜け出して、イタリア語らしく明るく明瞭に響かせる練習をする方がよっぽどイタリア語らしく聞こえるための近道です。

イタリア語はなにより、母音を基調に音を紡いでいく言語です。一つの母音に子音がワシャワシャと寄り集まったようなドイツ語よりも、イタリア語では母音の明瞭な音色が実際の聞こえ方を大きく左右します。

半母音(半子音)

他の母音とセット出てくる、アクセントのないI, U半母音(半子音)と呼ばれ、母音と子音の間のような役割を持ちます。

そう言われてもピンとこないと思うので、例を見てみましょう。

  • piano [pja:no](ピアーノ)
    平らな
  • luogo [lwogo](ルオーゴ)
    場所

最初のpianoでは、piaとアクセントのaの前に、半母音iがついています。発音記号では[j]となりますが、用は、「イ」ほどはっきり発音せず、一気に「ィア~」と呼んでしまえば大丈夫です。

二つ目のluoも「ウ・オー」と2文字分ではなく、「ゥオ~」と一気に読めばそれっぽく聞こえます。

母音の前のアクセントのないI, U半母音
→後ろの母音にくっつけて一気に発音する

イタリア語の子音

イタリア語の子音の多くはローマ字読みでも通用します。ただし、中にはイタリア語特有の読み方をしたり、特定の組み合わせでローマ字とは違う発音になったりするものもあります。

ローマ字読みと同じ子音

以下の文字は、単独でローマ字読みと同じ読み方をします。

B, D, F, L, M, N, P, Q, S, T, V

例をどうぞ。

  • bambino (バンビーノ)
    男の子
  • dame (ダーメ)
    女性
  • fossa (フォッサ)
  • luce (ルーチェ)
  • mano (マーノ)
  • numero (ヌーメロ)
  • potere (ポテーレ)
    ~できる
  • questo (クエスト)
    この
  • settimana (セッティマーナ)
  • teatro (テアートろ)
    劇場
  • vivo (ヴィーヴォ)
    生きている

※ 単独のSの文字は、母音に挟まれると少し濁ります。

  • cosa (コーザ)
    もの ※「コーサ」ではない。

※ ただし、二文字重なったSSは濁りません。

  • rosso (ろッソ)
    赤い

ローマ字読みと違う文字

以下の文字は、単独でローマ字読みとは違う読み方をします。

H, R, Z

H(無音)
Hの文字はイタリア語ではどの位置だろうが発音しません。

R [r](巻き舌)
イタリア語のRは所謂巻き舌です。特に語頭・強勢のある母音の前・2つ続いたとき(RR)ではしっかりと舌を振るわせましょう。一方で母音に挟まれたRはそれほど躍起になって巻き舌にする必要はありません。一回舌を振るわせるぐらいでいいでしょう。

Z [ts, z]
スペルのZは、濁らない[ts]で読むこともあれば、濁って[z]となることもあります。地域差や個人差があるのですが、辞書で特に明記されていない限りどちらの発音でも通用する場合がほとんどです。

  • hanno (アンノ)
    (彼らは)持っている
  • ferro (フェッろ)
  • pizza (ピッツァ) ※濁らない
    ピザ
  • azzurro (アッズーロ) ※濁る
    青い

後ろの母音によって発音がかわる子音

C, G

この2文字は、後ろの母音によってはローマ字読みとは違う読み方をします。

CI, CE「チ、チェ」[tʃ]
CA, CO, CU「カ、コ、ク」[k]

母音の鳴る位置を思い出してください。
I, Eは口のの方で鳴るのに対し、A, O, Uは口の後ろの方で鳴る母音でした。CとGの子音は、続くのがこの「前の母音」か「後ろの母音」かで、音が変わるわけです。

音が鳴っているときの口の中をよく観察してみると、[tʃ]の子音が口の前の方で鳴っているのに対し、[k]は口の奥の方で鳴っていることに気づくのではないでしょうか。母音の位置に引っ張られて、子音もCI, CEでは前の方で出す子音になったわけです。

GI, GE「ジ、ジェ」
GA, GO, GU「ガ、ゴ、グ」

Gでは先ほどのCの発音が濁るだけです。

例をどうぞ。

  • cinema (チーネマ)
    映画
  • cena (チェーナ)
    夕食
  • caro (カーロ)
    親愛なる
  • contento (コンテーント)
    嬉しい
  • gesto (ジェースト)
    身振り
  • ragazzo (らガッツォ)
    男の子

CI, GIの後に、「後ろ母音」が来たら、CI, GIの2文字で [tʃ], [dʒ]の音を表します。

CIA, CIU, CIO「チャ、チュ、チョ」

GIA, GIU, GIO「ジャ、ジュ、ジョ」

例をどうぞ。

  • ciao (チャーオ)
    やあ!
  • calcio (カールチョ)
    サッカー
  • giallo (ジャッロ)
    黄色い
  • viaggio (ヴィアーッジョ)

子音の組み合わせで起こる発音

以下の子音は、組み合わせで特定の音をもちます。

CH, GH, SC, SCH GN, GLI

CH [k]
CHは常に[k]の音です。CHI, CHEは「キ、ケ」となります。CI, CEでは「チ、チェ」でしたね。

GH [g]
GHは常に[g]の音です。GHI, GHEは「ギ、ゲ」となります。GI, GEでは「ジ、ジェ」でしたね。

SC+I, E [ʃ] 
SCに「前の母音」が続くと、[ʃ]の音になります。SCI, SCE, SCIA, SCIO, SCIUは「シ、シェ、シャ、ショ、シュ」です。SCIA, SCIU, SCIOの場合は、SCIで1つの[ʃ]の音になると考えるといいでしょう。

SC+A, O, U [sk] 
SCに「後ろの母音」が続くと、文字通り[sk]となります。

SCH+I, E [sk]
SCHの後にI, Eが続いても、同じく[sk]の音になります。SCHI, SCHE「スキ、スケ」

GN [ɲ]
GNの連続は、「ニャ」みたいな音で読みます。

GLI [ʎ]
GLIの連続はLよりは柔らかい感じの「リぃ」という音になります。

  • forchetta (フォるケッタ)
    フォーク
  • chiaro (キアーロ)
    明るい
  • spaghetti (スパゲッティ)
    スパゲッティ
  • conoscere (コノーシェレ)
    知る
  • sciare (シャーレ)
    スキーする
  • scacco (スカッコ)
    チェス
  • schiena (スキエーナ)
    背中
  • signore (スィニョーレ)
    紳士
  • figlio (フィーリオ)
    息子

以上がイタリア語の発音の概要になります。

C と後続する文字の発音まとめ

Cの音の発音がいくつかあるで、日本語の音との対応を以下にまとめておきます。

cacicuceco
チェ
 chi che 
   
cia ciu cio
チャ チュ チョ

Gの音はこれが濁ると思ってもらえば大丈夫です。

まとめ

以上がイタリア語の発音の大まかな規則です。

いくつか見慣れない文字もありますが、そういった発音の数も英語やフランス語に比べたら随分少ない方です。

イタリア語は基本的な規則を身に付ければ誰だって、すぐに発音だけならできるようになります。みなさんもまずは親しみやすいその「音」からイタリア語の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

ある程度発音できるようになるだけならそれほど時間はかかりませんが、だからといってカタカナ表記を見てそれを読んでいるだけではなかなか「イタリア語らしく」聞こえてはきません。日本語との共通点も多いから最初は簡単、というのは、裏を返せば、日本語っぽさから抜け出すのは難しいと言うことです。

どの語学にも言えることですが、それを脱却するにはネイティブスピーカーが話す例を事細かにまねしていくしかありません。特に、単語やフレーズの後ろに伸びやかなアクセントがあるという特徴は、日本語にも英語にもないものです。

読み方の基本を身につけた後で、そういった真の意味での「イタリア語らしさ」を獲得するのはさらに長い道のりになるでしょう。最近ではイタリア語の発音に特化したような優れた教材も出ています。

「入り口は広く出口は狭い」なんて言われるイタリア語です。私の勝手な印象ですが、イタリア語はなんとなくの憧れで手を出して、結局挫折する人が一番多い言語という気がします。

広い入り口からその先を見据えて続けることができるかがイタリア語をある程度本当の意味で使えるようになるかの分かれ目となるでしょう。

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巷の英語教員・語学人間
2019-2020年にかけて存在したサイト『やるせな語学』をリニューアルして復活させました。いつまで続くやら。最近は古英語に力を入れています。言語に関する偉大な研究財産を、実際の学習者へとつなぐ架け橋になりたいと思っています。
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