フランス語の本

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随時更新していきます。(  )は追加日です。
著者名順に並んでいます。

Balzac, Honoré de. “Le père Goriot”

決して美しい文章を書く作家ではない。なにやらゴリゴリに書き殴ったような文章で、私は特段好きではないのだが、やはりフランス文学を読む上ではバルザックは外せない。Gallimard版よりも3ユーロの Livre de Poche版の方が文字も大きく、注釈が同じページにあって読みやすい。(2024/3/16)

Camus, Albert. “La peste”

まさにコロナ禍のフランスで、ロックダウンの最中に私は本書を読んだ。カミュが好きすぎて、気に入った1節をノートに写経していたら、あっという間にノートを一冊使い切ってしまった。特にこの『ペスト』は私が最も好きな作品である。(2024/3/16)

Camus, Albert. “L’été”

Gallimardの2ユーロのシリーズで読んだ。生まれた地を回顧する作家のエッセイである。短く読みやすいので、気楽な読書用におすすめ。(2024/3/16)

Camus, Albert. “L’étranger”

カミュの作品の中でも最も有名な作品である。半過去や複合過去といった語りの時制で物語が書かれているため、初級レベルを終えた後の語学教材になることも多い。内容は読んで楽しくなる話ではないのだが、やはりフランス語を勉強するなら必ず読んで起きたい作品である。(2024/3/16)

Clézio, J.M.G. le. “Chanson bretonne”

ノーベル賞作家クレジオの随想である。若き日のクレジオが過ごした日々が語られる。「アエネイス」を読んでいた話が私は特に印象に残っている。クレジオ作品の中でも特に語学的なハードルが低いので、単語を覚えながらチャレンジしたい。(2024/3/16)

Clézio, J.M.G. le. “Étoile errante”

クレジオが語るのは現代世界に生きる、居場所を失った人たちと、居場所を探し求めてさまよう人々の姿である。まさに今の社会情勢を考える上でも非常に示唆に富む物語となっている。さまよえる人々が行き着く姿はなにか。(2024/3/16)

Clézio, J.M.G. le. “Monde et autres histoires”

子どもを主人公にした作品集である。短い話が多いが、文明と自然、人間と大地の距離感といったクレジオ作品に通底するテーマが凝縮されている。作品ごとに少しずつ異なる文体で書かれているので、いろいろな語り口に触れることができる。クレジオの小説の中では最も読みやすい作品であるので、語学力を高める目的で読むのにもおすすめできる。(2024/3/16)

Clézio, J.M.G. le. “Tempête”

比較的新しい作品である。クレジオも、後に紹介するモディアノも、作品数が多いが根底にあるテーマは常に一貫している。本書は日本に生きる人にもイメージしやすい場所を舞台に設定している中編と、もう1つ別の中編が収められている。(2024/3/16)

Duras, Marguerite. “Hiroshima, mon amour”

マルグリット・デュラスの作品の中では有名な方ではないが、日本と関連の深いものをここで選択した。「ヒロシマについて語るということは、ヒロシマについて語ることの不可能性についてかたることである」という1節が記憶に残る。(2024/3/16)

Flaubert, Gustav. “Madame Bovary”

カミュと並んで私が最も好きなフランスの作家である。フロベールの作品で何を味わうべきかというと、やはり文章である。『ボヴァリー夫人』は仏文学の枠にとどまらず、世界の文学、19世紀のヨーロッパ文化について考える上でも最重要の作品である。長くて時に難しい言い回しも出てくるが、じっくり読むと、細部から立ち上がってくるフランス語の豊かな世界に酔いしれるだろう。(2024/3/16)

Flaubert, Gustav. “Salambô”

フロベールを読むなら、「3つの物語」「ボヴァリー夫人」から入ることが多いが、隠れた名作がこの『サランボー』である。古代を舞台に、フロベールの精緻な描写が隙のない物語世界を生み出す。歴史上の出来事を、想像を交えながらここまで鮮やかに浮かび上がらせるのも、さすがフロベールの力である。(2024/3/16)

Flaubert, Gustav. “Trois Contes”

19世紀の大作家フロベールの作品に取り組むのに、まず第一に手に取るべきなのは、この『3つの物語』である。この1冊は、簡単に言うと、フロベールの描ききった世界を短い3つの話にぎゅっと凝縮した作品集である。手軽に読める上に、いわば、文豪の作品世界「全部のせ」である。フランス語を勉強するなら一度は読んでおきたい。(2024/3/16)

Foenkinos, David. “La délicatesse”

現代のフランスで非常に人気がある作家の一人、デイヴィッド・ファンキノスの代表作である。彼の作品はいくつか邦訳も出ており、この本は「ナタリー」というタイトルで映画化もされたので日本でも知られている。古典から離れ、現代フランスを舞台にしたハートフルな話を読みたくなったらおすすめである。(2024/3/16)

Gide, André. “La symphonie pastrale”

ジッドは昭和期に日本にもよく紹介され、日本文学でもよく引用されるので名前を聞いたことがある人も多いだろう。代表作は『狭き門』や『偽金作り』や、あるいはこの『田園交響楽』である。20世紀はじめの古典小説ではあるが、現代フランス語の知識で読んでいけるはずである。話自体も面白く、長さも100ページほどなので、やや古い小説を1冊読み切った達成感を得るにはおすすめである。(2024/3/16)

Gochini/Sampé. “Petit Nicola”

フランス語学習の定番の本である。ニコラ少年の日々の騒動を描く人気シリーズの第1作である。もちろん語学的にも非常に優れた教材となり得る。それ以上に、このシリーズでは、コミカルなエピソードの中に「フランス的なるもの」「フランス的なる考え方」といったものがちりばめられている。英米の文化とも違う、フランス流の生き方を考える上では非常に参考になるのである。(2024/3/16)

Hugo, Victor. “Le Dernier Jour d’un Condamné”

ユゴーの小説で原文で読んだことがあるのは、私はこの『死刑囚最後の日』だけなのだが、非常に気に入った作品である。この作品の最後の場面で想起されるのは、現代ネット社会で大衆によって血祭りのように吊るし上げられる悲惨な「罪人」の姿である。古典ではあるが、今に生きる我々にもダイレクトに響く話である。これが気に入ったら、ぜひカミュの『ペスト』も読んでほしい。(2024/3/16)

Kristof, Agota. “Hier”

アゴタ・クリストフの作品の中では、やや大人向けの小説である。もともと暗いテーマの話が多い作家だが、この作品は中でも暗い。Hier(昨日)とは、何であり、今とは何が違うのか、本書を読みながら考えてほしい。(2024/3/16)

Kristof, Agota. “Le Grand Cahier”

児童書の体裁を取った本でフランス語学習にもおすすめであるし、ヨーロッパの現代史を知る上でも有用である。これはハンガリー出身の作家が外国語であるフランス語で書いた小説である。語りの時制は淡々とした現在時制で、各エピソードは非常に短い。その中で、20世紀ヨーロッパが経験した残酷な現実がはっきりと浮かび上がってくる。続編も含め、フランス語の学習にも非常にありがたい教材である。(2024/3/16)

Maupassant, Guy de. “Contes du jour et de la nuit”

モーパッサンは私が最も多く読んだフランスの作家である。古典であるが、読んで退屈することがあまりない。短編も当たり外れあるが、大抵は何かしら楽しめる。これは私が最初に読んだ短編集である。(2024/3/16)

Maupassant, Guy de. “La Petit Roque”

モーパッサンの作品中、私が一番好きな作品群は、長編でもなく、短編でもなく、ちょうどいい長さの中編である。短編は当たり外れあるが、中編はだいたい間違いない。(2024/3/16)

Maupassant, Guy de. “Le Horla”

モーパッサンの中編の中で最も印象に残っている1冊である。(2024/3/16)

Maupassant, Guy de. “Une vie”

『女の一生』は日本で最もよく知られたモーパッサンの長編の一つである。まずはこれを読んでおくと間違いないとも言える。美しい文章の中に、19世紀フランスの田園生活が描かれるのがこの作品の一番印象的なところである。(2024/3/16)

Modiano, Patrick. “Catherine Gertrude”

現代フランスの人気作家パトリック・モディアノの児童書の体裁を取った本である。軽やかな文体で書かれており、非常に読みやすい。最初に手に取るモディアノ作品としてもおすすめである。(2024/3/16)

Modiano, Patrick. “Dans le café de la jeunesse perdu”

モディアノの小説の中でも特に「モディアノらしさ」が強く発揮されている作品である。連作短編の形を取りながら、作家の内部から沸き起こる過去の声が、記憶の物語へと昇華されていく。文学好きにも、20世紀のヨーロッパの雰囲気が好きな人にも、おしなべて推薦できる本である。(2024/3/16)

Modiano, Patrick. “Dora Bruder”

フランス文学における21世紀のノーベル文学賞作家といえば、クレジオと並んでモディアノがいる。そしてモディアノの作品の中でも最も重要な作品が本書である。この本は小説ではなく、記録である。実在した人物の記憶を辿っていく作家の前に、やがて一つの大きな哀しみの世界が広がっていく。短い本だが、非常に印象に残る1冊である。(2024/3/16)

Murakami Haruki. “Après le tremblement de terre”

東ヨーロッパを旅していたとき、ルーマニアの首都ブカレストの仏書専門店でこの本を買った。コロナ禍の脅威が迫るヨーロッパで「神の子たちはみな踊る」を読んだのをなぜだかはっきり覚えている。村上春樹作品の外国語版は非常に読みやすいので語学用にもおすすめである。(2024/3/16)

Murakami Haruki. “Chronique de l’oiseau à ressort”

本書はロックダウン最中のフランスで、はるばる遠くの書店まで買いに行って手に入れた思い入れの深い物語である。この時期はひたすら家にこもってじっくりフランス語を読んでいて、人間と会話するのをほとんど忘れていた。(どうでもいい。)(2024/3/16)

Murakami Haruki. “Incolore Tazaki Tsukuru et ses années de pélerinage

本書はフランスに旅発つと決意したある日、日本で手に入れ読み始めた。大学で勉強したことのあったフランス語だが、ずいぶん忘れかけており、読み進めるのに最初はずいぶん苦労した。しかし読んでいくうちに、次第に流れるような文章に自然に体のリズムが付いていくのである。これが世界を代表する作家の力か、と私は思った。(2024/3/16)

Murakami Haruki. “Kafka sur le rivage”

ハンガリーの外国語の本を扱う書店で購入し、フランスに入国するまで日々読みふけっていた本である。そして、最終章だけを読み残したところでパリに着いたバスに忘れてしまい二度と返ってこなかった。日本に帰国してまた読み直した。(2024/3/16)

Nabokov, Vladimir. “Un coup d’aile”

ナボコフの作品をわざわざフランス語で読む必要など本当にないのだが、短い話ではあるし、Folio文庫の2ユーロシリーズに惹かれて購入した。表題の短編よりも、続く「ラ・ヴェネチアーナ」の方が印象に残っている。(2024/3/16)

Sagan, Françoise. “Bonjour Tristesse”

フランソワーズ・サガンの若き日の代表作、『悲しみよこんにちは』である。これが弱冠18歳の作家によって書かれたというのは、まったく驚くべきことである。一方で、若さ故の残酷なまでの瑞々しい文章を感じ取ると、若き日の作家にしか書けないのかもしれないとも感じる。いずれにせよ、ぜひこの文書を原文で味わってみたい。(2024/3/16)

Saint-Éxupery, Antoine de. “Le petit prince”

言わずと知れた名作『星の王子さま』の原著である。多くのフランス語学習者が手に取るであろうし、またそれも納得できる。サン・テグジュペリという作家は、それこそ文章の達人である。そんな作家が子ども目線の優しい言葉で語るからこそ、隙のない完成された文章になるのだと実感できる。(2024/3/16)

Saint-Éxupery, Antoine de. “Terre des homme”

サン・テグジュペリの代表作の一つである。飛行士でもあったこの作家の思想を知る上では最も重要な本である。フランス語は決して初心者向けではないが、じっくり読んで、描かれる世界の奥深さに触れたい。しかし何やら私はこの作家が苦手である。語られることがあまりに立派すぎるからである。もう一回り人間的に立派になって読み直したい。(2024/3/16)

Saint-Éxupery, Antoine de. “Vol de Nuit”

サン・テグジュペリの美しい文章に触れるなら、まずは本書を勧めたい。この小説の白眉は、最後の方で、飛行士が現実と死が混じり合った雲の上の世界の、あまりに美しい描写である。物語は長くないので、1冊読み切った達成感も得やすい本である。(2024/3/16)

Tournier, Michel. “L’aire de Muguet”

小説は哲学書とは異なる。さてでは、小説で哲学を語るには? ミシェル・トュルニエの作品は、深い思索につながる物語を、誰にもわかる言葉で語ってくれる。まずは本書のような短い物語集から手に取ってみてはどうだろうか。(2024/3/16)

Vian, Boris (Vernon Sullivan). “J’irai cracher sur vos tombes”

ボリス・ヴィアンと言えば『日々の泡』(『うたかたの日々』)の作家である。そんな作家がVernon Sullivan というペンネームで発表していた一群の通俗小説の一つである。特段おもしろいとも感じなかったが、フランス語の勉強にはなった。(2024/3/16)

フランス語の多読については、次のページでも詳しく紹介しています。
初級編
中級編
『星の王子さま』をフランス語で読む

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