ドイツ語学習に関する推薦書

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随時更新していきます。(  )は追加日です。
本格的なドイツ語学やドイツ語史に関する本は別の項で紹介しています。

文法・読解

清野智昭『中級ドイツ語のしくみ』(白水社)

気軽に読めるドイツ語の中級書である。ドイツ語の本質的理解に必要な事項をコンパクトに、かつ内容に妥協せず説明してくれている。初級文法で習ったことの背景にある事項を言語学的視点から解き明かしてくる本書は、高いレベルを目指す一般の学習者にとって最も頼りになる学習の友となるだろう。(2024/2/25)

佐藤清昭『ドイツ語の小説を読む①②』(三修社)

この本は私が使ってきたドイツ語教材の中でも、最も優れているものの一つである。20世紀ドイツを代表する作家ハインリヒ・ベル(日本ではあまり知られてないかな?)の短編を使って、ドイツ語の中級文法を親切丁寧に解説してくれている。この本をとりわけ際だったものにしている点は、所々で関口在男の語学論(語学哲学?)みたいなものを紹介しているところである。語学の神様の片鱗に触れられるだけでも貴重と言うほか無い。(2024/2/25)

田中雅敏『中級学習者のための ドイツ語質問箱 100の疑問』(白水社)

先述の清野智昭『中級ドイツ語のしくみ』と並んで、中級学習者向けの最も優れた日本語による文法解説書である。ドイツ語学習が進んできた一般の学習者の素朴な疑問に言語学的視点から回答してくれている。見た目はかわいらしい装丁だが、中身は上級者でも十分満足が得られるほどのものになっている。この本を読んでなにより楽しいのは、確かによくよく考えてみると不思議だなという視点を別の学習者の質問という形で提示してくれている点である。(2024/2/25)

中島耕太郎『独検2級・3級受験者のための パワーアップ・ドイツ語』(同学社)

ドイツ語の中級レベルの「構文集」といった内容である。最近の語学書では省略しがちな文語的な言い回しなども網羅してあり、さながら古き良き語学教材という趣である。ドイツ語レベルとしては、準1級レベルとしても十分通用するような事項もあったりする。旅行中の会話には重すぎるかもしれないが、やや古いドイツ語の文献を読んでいきたいなら、本書で扱われる事柄を理解しておくことは必須である。(2024/2/25)

森泉『しっかり身につくドイツ語トレーニングブック 文法と頻出単語を同時に学べる』(ベレ出版)

このテキストは、見た目上「問題集」であるが、基本的な構成は手堅い文法教材であるとも言える。最小限の説明に圧倒的な量の練習問題が続く。それだけではどこにでもある文法教材なのだが、この本の特筆すべきは、その問題量である。そして、ほぼすべての問題が「一つの完全文を作文する」という形式になっている。つまり、よくある選択問題や括弧埋めの問題集ではない。ある言語を使えるようになる基礎体力は、簡単な文でもいいので、主語・動詞を含んでピリオドで終わるまでの文を書くこと以上のものはない。各言語に特有の語順も、語変化も、基本語・機能語の用法も、文を作りながら言語回路を脳に刻み込んでいくのである。これは言語の考え方やリズムになれるために理にかなった揺るぎない方法である。しかし、一方でそのスタイルを体現した優れた教材は、案外少ない。正直なところ、私は大学1年の時のどの語学の授業よりも、この本からドイツ語を学んだと言っても過言ではない。(2024/2/25)

Jin, Friederike/Voß, Ute, 2021, Deutsch als Fremdsprahe, Grammatik activ B2-C1, Cornelsen, Berlin

実用レベルでの本格的な独文法を学びたいなら是非とも持っておきたい1冊。CEFRの基準で各学習レベルに必要な文法知識を提示してくれている上、C1レベルの本格的な内容までカバーしてくれている。練習問題も充実しており、現地で実際に使われるドイツ語に触れるためにも本書は有用である。(2024/2/25)

作文・表現・リスニング

クリストフ・ベントリクス、カタリナ・ムンレス・ゴリ、近藤美樹子『耳が喜ぶドイツ語 リスニング体得トレーニング』(三修社)

「耳が喜ぶ」シリーズはテキストの内容といい、読まれるスピードといい、第2外国語で中級以上を目指す人には必須のテキストである。ドイツ語版は(ドイツらしく)かなりクリアな読みっぷりである。ゲーテB2のリスニングはこれよりは難しいが、それでもB1ぐらいは十分通用する。私は大学生の頃、この教材を毎日30分以上、本文を覚えてしまうまでとにかく何度もシャドーイングしていた。(2024/2/25)

清野智昭『しくみが身につく 中級ドイツ語作文』(白水社)

英語の作文教材は入試学参コーナーに盛大なる一画を占めているが、第2外国語となると、優れた和文○訳のテキストはほぼない。その点、作文を通して中級文法や語彙語法を解説してくれる本書は、和文独訳で表現を積み上げていきたい私のような人間には大いにありがたいものである。(2024/2/25)

清野智昭・山田敏弘『日本語から考える ドイツ語の表現』(白水社)

このシリーズは様々な外国語で展開している。共通の日本語を諸外国語に訳すというコンセプトなので、各国語の性格を比較するのにも役立つ。また、母語である日本語についてもすこし踏み込んだ考察がなされるので、改めて言語について考える機会にある。ドイツ語版はおなじみ清野先生が執筆しており、語り口がやっぱりおもしろい。(2024/2/25)

橋本政義『口を鍛えるドイツ語作文【初級編】』(コスモピア)

ドイツ語の文構造を、簡単な文を口頭で量産しながら身につけるという、瞬間独作文系の書籍で、初心者にもっともおすすめの一冊である。レベルは先述の『口が覚えるドイツ語 スピーキング体得トレーニング』より一回り易しい。文頭の要素や形容詞の格変化など、面倒な事項をとにかく数をこなすことで自然に身につけていくことを目指している。どれだけ理屈をこねくり回したところで、はやり基本文法を体得するのにこれ以上の方法はない。(2024/2/25)

ヤン・ヒレスハイム著・金子みゆき訳『口が覚えるドイツ語 スピーキング体得トレーニング』(三修社)

いわゆる瞬間独作文の本である。この本は2018年に大幅に改訂されているが、私は旧版で勉強した。旧版は、日常会話的フレーズだけででなく有名人の格言ややや高尚な言い回しなども含まれていて、私は結構好きな本であった。(この方針に批判があったのは大いに予想がつくが。)改訂版ではより一般的な日常表現を多く含んでいるので、自分の好みの教材を選ぶといいだろう。(2024/2/25)

鷲巣由美子『表現力を鍛える 中級ドイツ語 音読トレーニング』(白水社)

短いパッセージと、関連表現を音読する中で、中級レベルのドイツ語表現力を身につけていこうというコンセプトの本である。私は大学を出て5年ほどドイツ語から離れた生活を送った後、ドイツ語学習を再開するのに使った。やや誤植が目立つのが気になるが、それでも十分良質な表現を含んでいるため好きな教材である。(2024/2/25)

単語帳

在間進・亀ヶ谷昌秀『新・独検合格 単語+熟語1800』(郁文堂)

ドイツ語の単語帳としては、10年以上前からある本で、古参の部類になる。特に可もなく不可もない内容だが、私は大学生1年のドイツ語学習の最初期の時期に、この単語帳の全例文を暗記して瞬間独作文できるように練習した愛着のある本である。余白には辞書で調べた派生語や類義語をびっしりと書き込んで使い込んだのが思い出深い。内容的に優れているのは、高頻度の熟語表現を扱っている点である。(2024/2/25)

辞書

岩崎英二郎/小野寺和夫/国松孝二(1999)『独和大辞典 第2版 コンパクト版』(小学館)

この辞書を使うときは、「クラウン独和辞典」に調べたい単語が載っていないときである。最後の砦として学習棚の隅っこに控えてくれている。本のサイズはそれほど大きくないのだが、このコンパクト版は、ただただ字が小さく読みづらい。(2024/3/4)

濱川祥枝/信岡資生[監修]/新田春夫[編集](2013)『クラウン独和辞典 第5版』三省堂

長らく私が使い倒してきた独和辞典である。大学生の頃、半年かけて、この辞書に色つきで載っている7000語ほどを暗記してゲーテのB2を取得したのは思い出深い。学生時代、文字通り肌身離さず持ち歩いた本で、今でもよき学習の共である。(2024/3/4)

Duden (2020), “Duden: Das Herkunftswörterbuch, Etzmologie der deutschen Sprache, 6. Auflage”, Duden Verlag

ドイツ語の語源辞典にはこの “Duden 7” と “Kluge” という有名なものがあるが、現状この Duden の方が手に入りやすい。ゲルマン語の語源の世界はラテン語系の語彙よりややとっつきにくいかもしれないが、単語の響きに耳を澄ませ、深いところで共鳴する音を探し出すのにやはりドイツ語の語源辞典にあたることは必須である。英語学習の際も、古英語学習の際も、頻繁に手に取る辞書である。(2024/3/4)

Langenscheidt (2017), “Langenscheidt Standard Dictionary German”, Langenscheidt

ドイツの辞書メーカーでお馴染みの Langenscheidt から、独英・英独の辞書である。用例などは最低限だが、英単語とドイツ語の対応は案外調べないと思い浮かばないものもあるので重宝する。私は古英語の単語帳や例文集を自作する際、訳語をドイツ語で書くようにしているので、そのときによく使う。(2024/3/4)

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ドイツ語学・ドイツ語史
ゲルマン語全般

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