印欧語・ゲルマン語全般に関する推薦書

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随時更新してきます。(  )は追加日です。
ドイツ語史やドイツ語学のみを扱った本は、こちらのページで紹介しています。

清水誠(2012)『ゲルマン語入門』(三修社)

私の人生を狂わせそうになった(今でもなっている)本である。私は古英語を皮切りに、30歳を過ぎてゲルマン語に興味を持ち、この本に出会った。ゲルマン語について知れば知るほど、ラテン語やギリシャ語など、10年以上前に大学で学んだ別の語派の言語がゲルマン語と深いところで結びついていることに気づき、暇さえあればゲルマン語について考える日々を過ごしている。(2024/2/26)

清水誠(2024)『ゲルマン諸語のしくみ』(白水社)

古今のゲルマン語の形態・統語の特徴を縦横無尽に解説した本である。値段が高いがゲルマン語の世界を知り尽くしたいなら絶対に読むべき1冊である。ゲルマン語の古典語や歴史言語学の類書を読んで「そこのところをもっと知りたい」と思ったことは、大抵書いてある。扱う事項も幅広く、音韻を除く大抵の分野はカバーしてあると言っていい。少なくともドイツ語はわかっている読者を前提に書かれている。古高ドイツ語・中高ドイツ語の知識があるとなお読みやすいだろう。北欧語もどれか一つでも学習経験があるともっと楽しめる。何度も読んで内容を頭にたたき込んでいきたい。(2024/3/7)

McPherson, Fiona (2018),“Indo-European Cognate Dictionary”, Wayz Press

Watkins (2011) が印欧語幹から派生した英単語を主にまとめて紹介してくれるのに対し、こちらは各現代語でどのように用いられているかが説明される。ゲルマン語・ロマンス語だけでなく、その他あらゆる語派での同族語が一気に示されるので、語学好きにはたまらない。著者は学術的使用に耐えられるものではないと釘を刺しているが、趣味の語学用としてはたまらなく楽しい。(2024/2/26)

Ringe, Don (2017), “From Proto-Indo-European to Proto-Germanic” 2nd Edition, A Linguistic History of English: vol. 1, Oxford University Press

英語史やゲルマン語の歴史を本格的に勉強するには、やはり印欧語最古の源泉に足を踏み入れないといけない。そのための本である。最新の研究動向を踏まえつつ、印欧語からゲルマン祖語への言語変化を、最も標準的とされる理論を中心に整理してくれている。言語学の知識を備えていることを前提に執筆されており、加えて本書の内容をしっかり実感をもって理解するには、ギリシャ語・ラテン語・古英語の基礎知識はやはり持っておきたい。構成は印欧語の概説→印欧語からゲルマン語への変化→ゲルマン語の概説という手堅いものである。(2024/4/14)

Shipley, Joseph T. (1984), “The Origines of English Words A discursive Dictionary of Indo-European Roots” The John Hopkins University Press

Watkins と同じく、印欧語幹から現代語の単語を列挙した古典語→現代の派生語と調べる辞書である。縦横無尽に単語の使用例や単語に関するエピソードを並べ、古今の英語の実例も豊富に引用される。上記 Watkins と異なる説が採用されていることも多いので、私はこの2冊を並べて使用するようにしている。(2024/2/26)

Watkins, Calvert (2011), “The American Heritage Dictionary of Indo-European Roots: 3rd Edition” Houghton Mifflin Harcourt

辞書にしてはかなり薄い本だが、印欧語幹から現代語の派生関係を調べるために最重要の辞書である。現代語から引くのではなく、印欧語幹から引くのがポイントである。どの項を読んでも同じ語幹から驚くほど多様な語彙が派生しているのに圧倒されること請け合いである。(2024/2/26)

関連分野の本は各リンク先で紹介しています。
英語史
ドイツ語史
ロマンス語史

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