古典ギリシャ語に関する推薦書

imaizumisho

随時更新していきます。(  )は追加日です。

ギリシャ語学習書

風間喜代三『ラテン語とギリシア語』三省堂

有名な印欧語研究者によるギリシア語・ラテン語の概説書である。語学的事項を詳しく扱うというよりは、言語の特徴を紹介するスタイルになっている。文法用語の由来など、膝を打つような記述も多い。音韻・形態・統語といったオーソドックスな言語案内に加え、印欧語学者ならではの視点からなされる言語紹介が面白い。(2024/7/15)

美知太郎・松平千秋『ギリシア語入門』(岩波書店)

岩波書店の『古典ギリシア語入門』は、一昔前までは、古典ギリシア語の定番教材であった。西洋古典語に通じている方なら、「田中・松平」と言えば大体これのことを指していると了解してもらえる。私は大学に入った4月から、ちまちまとこの練習問題を解いていって花の学生生活を地味に棒に振ってしまった感すらある。くねくねしたギリシア文字をくねくね書いていくのが至福の時であった。昔からある教材で、大学の授業で使われることを前提としているため、練習問題の解答はついていない。(2024/2/25)

堀川宏『しっかり学ぶ初級古典ギリシャ語』(ベレ出版)

現状手に入る最も気軽に取り組めるギリシャ語の教科書としておすすめである。玄人向けの類書と異なり、一般的な語学書のスタイルに近づけて書かれている。アオリストの説明など、はっとするような記述も多い。文法の理解は本書でかなり進む。本書を気軽に手に取るつもりの人には、語形の暗記を抜きにしたギリシャ語学習はないということは覚悟して臨むべきであるとは一応言い添えておく。練習問題は最低限だが解答もついているので独習できる。(2024/2/25)

水谷智洋『古典ギリシア語初歩』(岩波書店)

上記の本よりは新しい教材だが、最新というほどのものでもない。私は大学2年目の4月から、ちまちまとこの練習問題を解いていって、大学生活を相変わらず棒に振り続けてしまった感がある。授業で使っていた先生は、ひたすらこの本の悪口を言っていたので、「そこまで言うなら、教科書に指定せんかったらいいやん」と思っていた。やはり練習問題の解答はついていない。(2024/2/25)

Keller, Andrew, Learn to Read Greek Part 1-2, Textbook and Workbook, Yale University Press

イェール大学出版局が出しているギリシャ語の巨大なテキストである。テキストもワークブックも2冊ずつの合計4冊になっている。しかもどちらもA4版と、日本の語学書ではお目にかからない巨大なサイズである。分厚さと重さと表紙の重厚感あるデザインと相まって、ギリシャ語版はさながら怪物のような語学教材である。私は自問する。これ以上の語学書って、ある~? 解答は付属していないのは注意である。私は出版社のウェブページから著者に連絡を取り、日本で独学のために使いたい旨を伝えると、快く解答を送ってくれた。このシリーズはラテン語版もあり、大学の学部時代を友に過ごした思い入れの深い語学書である。(2024/2/25)

Mather, Maurice W / Hewitt, Joseph, Xenophon’s Anabasis: Book 1-4, Univ of Oklahoma Press, 1979

古典ギリシア語で初級文法を終えて購読に入るとなると、アリストパネスやプラトンもいいが、クセノフォンが題材となることも多い。比較的素直なアッティカ方言(古典ギリシャ語ではまずこれを習う)で書かれている「アナバシス」はそのなかでも一押しである。この注釈書は入門向けとあり、語注も詳しく所々にイラストまでついていて楽しい。(2024/2/25)

Reading Greek: Text and Vocabulary, Grammar and Exercises, An Independent Study Guide to Reading Greek, Cambridge University Press

ケンブリッジ大学が出版している古典ギリシア語のシリーズである。テキストや語彙・問題集など複数冊からなるシリーズであるが、中身がなかなか面白い。読むのは古代のテキストそのものではないが、うまく原点のエッセンスを抽出した読みやすいものとなっている。また、CDも別売りで販売されている。古典ギリシア語を収録した音声はほとんどないので、語学好きならこれは手に入れたい。大学生の頃、私はこのCDのうちとある1トラックを目覚まし音に設定していた。毎朝ギリシア語のフレーズで起きていたわけである。今でもそのフレーズだけは覚えている。目覚ましの音なのでもちろん当時はうっとうしく思っていた。(2024/2/25)

ギリシャ語辞書

Pocket Oxford Classical Greek Dictionary, Oxford University Press

最も気軽に手に入れることができるペーパーバックのギリシャ語辞書である。最低限の語義の説明だけだが、ちょっと調べるだけならちょうどいい。英語→ギリシャ語もわずかではあるが収録している。(2024/2/25)

Liddell, Henry George, An Intermediate Greek-English Lexicon, Oxford University Press, 1945

古典ギリシア語辞書の定番はなんと言ってもこの通称 Liddle Scott だろう。私が大学生だった2010年代前半はギリシア語学徒でこれを持たない人はほとんどいないかった。大中小の3サイズで展開しているが、持ち運びには中サイズのIntermediateがちょうどいい。閉じた側面は全くの白紙である。通常の辞書のように、アルファベットがどこからどこまでか分からないようになっている。私はαで始まる単語ならその項をすべてつまんで印をつけた上で、横に「A」を書き込んで引きやすくしていた。この辞書は結構古いので、版権が切れているのだろうか、いろんなアプリで格安版が出回っている。粗悪な印刷のものも出回っているようで注意が必要である。(2024/2/25)

関連分野の本は各リンク先で紹介しています。
ラテン語
印欧語全般

記事URLをコピーしました