ラテン語に関する推薦書

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随時更新していきます。( )は追加日です。

文法書

有田潤(1988)『初級ラテン語入門』(白水社)

気軽にラテン文法とラテン語の読解に取り組むなら本書が上記の『ニューエクスプレス』か、こちらの『初級ラテン語入門』がいちばんおすすめである。文法の説明は最低限だが、早い段階からラテン語のまとまった文章を読んでいく構成になっており、気軽に文章の世界に触れられる。(2024/3/2)

岩崎務(2018)『ニューエクスプレスプラス ラテン語』(白水社)

英語の語源系の本を雑学として勉強するのもいい。ただやはり、語根とはパーツだでなく、生きた言語なのである。それならこっちのほうがよっぽど面白いし、英語の世界も広がるのではないかと思っている。「英語のcaptain, capitalの “cap” は《頭》という意味」ということを知っているのと、ラテン語を勉強して “caput” 《頭》というラテン語単語を知っているということは別である。英語の語源が語源として腑に落ちるには、パーツの意味を覚えるだけでは不十分である。古典語の単語を、生きた言語として知るしかないのである。さらにこれを知った上で印欧語やゲルマン語・ロマンス語を扱った専門書に進むと、cap と head が完全に同語源であることにもたどり着ける。語源学習のやるせなさはここにある。逆に言うと、本書はそのやるせなさを乗り越える好素材である。(2024/3/2)

風間喜代三『ラテン語とギリシア語』三省堂

有名な印欧語研究者によるギリシア語・ラテン語の概説書である。語学的事項を詳しく扱うというよりは、言語の特徴を紹介するスタイルになっている。文法用語の由来など、膝を打つような記述も多い。音韻・形態・統語といったオーソドックスな言語案内に加え、印欧語学者ならではの視点からなされる言語紹介が面白い。(2024/7/15)

松平千秋・国原吉之助(1990)『新ラテン文法』(東洋出版)

「新」というタイトルを冠しているが、実際はかなり苔むした感じの教材である。私が初めてラテン語を学んだときは、大学1回生の授業でこの教材を使った。正直、決して使いやすい本ではないが、小さい割には充実した内容で案外後になっても重宝したものである。絶妙に「使いにくい」活用表も、それはそれで味があるものである。(2024/3/2)

山下太郎(2013)『しっかり学ぶ初級ラテン語 文法と練習問題』(ベレ出版)

現代語の語学書スタイルで書かれたラテン文法の本である。例文はすべて実際の作品に取材しており、古典ラテン語の神髄に気軽に触れることができるようになっている。この教材を使おうとしている方にアドバイスをあげるとしたら、とにかく表は覚えろ!ということである。変化表の暗記から逃げちゃだめよん。(2024/3/2)

Keller, Andrew/Russell, Stephanie (2014), “Learn to Read Latin, Second Edition: Textbook and Workbook, Yale University Press

私の知る限り、最大・最良の語学教材は、Yale University Pressによるこのラテン語教材と、そのギリシャ語版である。この本は、テキストとワークブックから構成されるのであるが、ワークの方の問題量が、常軌を逸しているレベルである。ラテン語の複雑な格変化も動詞の活用も、この問題をこなしていくと必ず身につくはずである。そこまで言える語学教材を、私はこれ以外には知らない。私にとって、本書はギリシャ語版と並んで、学部時代を共に過ごした思い入れ深い本である。解答は付属していないが、出版社のページから日本で西洋古典学を学ぶ大学生が独学のために使いたいと伝えると、快く解答を送ってくださった。これで勉強のモチベーションがさらにあがったのも覚えている。(2024/3/2)

Wheelock, Frederic M/Lafleur, Richard A (2011), “Wheelock’s Latin, 7th Edition”, Collins Refernce

英語圏では定番中の定番のラテン語教材である。文法の説明だけでなく、古代ローマ文明についての記述など、読んで飽きない。かなり分厚いが、海外の高校生でも読めるようなスタイルで書かれているので、副読本のように読むのにもよい。同シリーズのリーディング用の教材も出ている。(2024/3/2)

辞書

“Schule und Studium: LATEIN-DEUTSCH”, PONS (2012)

ギリシア語の辞書は “Liddell, Scott” という定番があるのだが、ラテン語の辞書は結構学習者によって好みが分かれる。案外定番というものがない。私も羅和、羅英などさまざま使ってみたが、どれもしっくりはこなかった。そんな中、ラテン語学習を3年続けてついに出会ったベストの1冊がこれ。非常に見やすく用例やコラムもわかりやすい。ラテン語辞書にありがちな苔むしたような風情はなく、普通の手堅い現代語の辞書といった感じである。PONSは非常に優れた語学書を出版する会社なので、ヨーロッパ系で多言語をやるなら是非知っておきたい。こういったときにドイツ語が分かるというメリットは非常に大きい。(2024/3/2)

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ロマンス語学・ロマンス語史
ギリシャ語
古英語

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