ドイツ語の本

imaizumisho

随時更新していきます。(  )は追加日です。

Böll, Heinrich, “Billard um halbzehn”, dtv

戦後ドイツを知る上で、最も重要な作家であるハインリッヒ・ベルの代表的長編である。日本ではあまり知られていないかもしれないが、ドイツを知る上では読んでおいて損はない。長編で読み切るには骨が折れるが、言語的には難解ではないので、じっくり読んでいくとよいだろう。(2024/3/7)

Böll, Heinrich, 2006, “Erzählungen”, Kiepenheuer & Witsch GmbH

ハインリヒ・ベルの代表的短編を集めたハードカバーの本である。第二次大戦に従軍した世代が率いた「廃墟文学」の代表的作品群が収録されている。一昔前は大学の語学教材にもよく見られた。語学的にも読みやすい上、ドイツが経験した過去を知る上でも重要であるので学習者におすすめできる。(2024/3/7)

Ende, Michael, “Momo”, Thienemanns Verlag

ドイツ語学習者なら、一度は読んだことがある(読んでおきたい)ミヒャエル・エンデの『モモ』の原書である。エンデのドイツ語は学習者にとって非常に読みやすいので、初級文法を終えた段階の人におすすめである。この本は長いが、単語を調べて覚えながら読んでいくと、ずいぶん大きな達成感が得られるだろう。(2024/3/7)

Gombrich, Ernst H. “Eine kurze Weltgeschichte für junge Leser”, Dumont Literatur U. Kunst

『若き読者のための世界史』という邦題でも知られる、歴史についてやさしい言葉で語りかけてくれる名著である。やや古い本なので、本書が出た後の20世紀最大の悲劇については語られない。ゴンブリッジが20世紀の歴史を語る続編を書いていたらどうなったか。ドイツ語は非常に読みやすいので、中級レベルの学習者なら楽しく読める。(2024/3/7)

Kafka, Franz, “Die Verwandlung”

ドイツ文学で最もよく読まれている本はやはり『変身』であろう。カフカのドイツ語は、正しすぎるぐらい正しく、ドイツ語的すぎるぐらいドイツ語的である。どれだけ複文が入り組んでも、長い冠飾句がついても、最後には必ずピースをはめるように来るべき語が来て文章が閉じられる。それでいて語られることは、一見突拍子もないことである。それがカフカである。カフカ的なのである。簡単ではないが、やはりドイツ語を学習しているなら一度は読んで起きたい。日本語訳もドイツ語原典も様々な出版社から出ているので、好みのものを探すのも面白いだろう。(2024/3/7)

Kästner, Erich, “Das fliegende Klassenzimmer”, Klett (Ernst) Verlag

ドイツ語圏の作家で、私が最も好きな書き手の一人、ケストナーの『飛ぶ教室』の原書である。ケストナーの作品は、とにかく読んで楽しく、それでいてちょっとだけ悲しく、なんだか優しい気持ちになれる。ユーモラスな表現は面白いのだが、言語としては学習者泣かせのこなれた表現も多い。それも含めてケストナー作品の魅力である。(2024/3/7)

Kästner, Erich, “Die Konferenz der Tiere”, Klett (Ernst) Verlag

ケストナー作品の中でも、ジョークと風刺が一際聞いた作品である。「飛ぶ教室」より短いので、最初に手に取ってみてもいいだろう。動物を登場人物にしたぶっ飛んだ話が好きなら楽しめる。(2024/3/7)

Kästner, Erich, “Punktchen und Anton”, Klett (Ernst) Verlag

『飛ぶ教室』と並んで、私がドイツ語学習の最初期に読んで気に入った本である。やっぱり子どもの優しさと悲しさを軽やかに描ききる作家として、ケストナーの右に出る者はいない。(2024/3/7)

Murakami, Haruki 2009, “Der Elefant verschwindet” btb Verlag

村上春樹作品は日本語で読む前に外国語で読むことが多く、英語、ドイツ語、フランス語の三言語で私の外国語多読を大いに支えてくれた。短編は気軽に読める上に、使われる語彙も平易であるので特に語学の題材としてもおすすめである。(2024/3/7)

Pausewang, Gudrun, 2011, “Die Wolke” Ravensburger Buchverlag

邦訳は『見えない雲』となって知られた作品である。映画化もされた。環境・エネルギーの先進国として名高いドイツの側面を映し出す作品である。原発事故を生々しく描く。途中、Wir sind Hibakusha. という台詞が唐突に出てくる場面があり、そのときの背筋が凍り付くような読書体験はいまでも忘れない。(2024/3/7)

Richter, Hans Peter, 1998, “Damals was es Friedlich”, distribooks. Inc

私が最初に読んだドイツ語の本がこれだった。決して明るく楽しい本ではないが、ヨーロッパ世界が経験したことを知る上で、こうした本を読むことは外せない。岩波少年文庫版の翻訳は『あのときフリードリッヒがいた』というタイトルだが、原題を直訳すると「あのときそれがフリードリッヒだった」という意味である。「それ」とは何か、本書を読んで考えてみてほしい。ドイツ語は非常に平易で読みやすい。(2024/3/7)

Roth, Joseph 2008, “Erzählungen”, Kiepenheuer & Witsch GmbH

上記 Kiepenheuer & Witsch の作家別短編集シリーズの、ヨーゼフ・ロート版である。オーストリアの作家で、私が好きな作家の一人である。「放浪のユダヤ人」という代表的なエッセイのタイトルを冠して紹介されることが多い作家で、世紀末のヨーロッパの雰囲気をよく伝える作品が多い。私が好きなのは “Die Legende vom heiligen Trinkers”(邦訳は岩波文庫『聖なる酔っ払いの伝説』)という短編である。(2024/3/7)

Süßkind, Patrick, “Die Geschichite von Herrn Sommer”, Diogenes Verlag

オーストリアの作家パトリック・ジュースキントによる、児童書の体裁を取った本である。挿絵はジャンジャック・サンペである。謎の男性ゾマーさんを巡る少年の日の記憶の物語がノスタルジックかつユーモラスに描かれる。手軽に読める短い本なので、学習者にもおすすめ。(2024/3/7)

Süßkind, Patrick, “Der Kontrabaß”, Diogenes Verlag

ドイツ語文学でこれ以上笑ったことはない。とあるオーケストラに所属する寂しきコントラバス奏者の男性の独白体による小説である。やや暗いキャラクターを主人公にし、ドイツ語文学らしさは全開でありながら、それでいて語り方と、主人公の心の叫びが絶妙な面白さを生んでいる。コントラバス奏者のように、世界を陰で支えるすべての人と、誰かから陰で支えられているすべての人におすすめできる。(2024/3/7)

ドイツ語の多読については次のページでも詳しく述べています。
ドイツ語多読初級編
カフカ『変身』をドイツ語で読む

記事URLをコピーしました