フランス語に関する推薦書

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随時更新していきます。(  )は追加日です。

文法・語学全般

京都大学フランス語教室(編)(2008)『新初等フランス語教本 文法編 5訂版』(白水社)

フランス語教材としてはポピュラーではないが、コンパクトさと内容の充実具合は類書とは一線を画している。単純過去や接続法半過去まで、押さえるべきポイントは押さえつつ、このサイズにまとまっているのはフランス語の達人たちの叡智が詰まっているのだろうと思われる。活用表もすこぶる見やすい。この本で学習を始めると、学習が進んでいっても気軽に参照する文法書として重宝するだろう。(2024/3/4)

ケスレー、クリスティアン/山下利枝(2021)『改訂版 耳が喜ぶフランス語 リスニング体得トレーニング』(三修社)

三修社の「耳が喜ぶ」シリーズは各言語で展開されていて、私もドイツ語版とイタリア版とこのフランス語版を、とにかく音読用に使い倒してきた。フランス語版は他言語にくらべて、1トラックあたりの時間が1~2割短い。これは発音しない音節が多いからか、それとも単純に早口なのか・・・。いずれにせよ、シンプルで、優れた語学書であることには間違いない。(2024/3/4)

Kessler, Christian/山下利枝(2018)『改訂版 口が覚えるフランス語 スピーキング体得トレーニング』(三修社)

第2外国語の瞬間作文テキストとして真っ先に思いつくのは、三修社の「口が覚える」シリーズである。タイトルが重要だ。「頭が覚える」ではなく「口が覚える」である。反射運動というものがあるが(熱いものに触れたとき脳に信号が行く前に手を引っ込めるというあれ)、言語もそうなろうというコンセプトが素晴らしい。フランス語版は活用や連語の解説が最低限ついている。正直、1冊目として使うには結構難しいので、同系統の教材ならNHK出版の『表現力トレーニング』シリーズの方がハードルは下がる。(2024/3/4)

サン=テグジュペリ、アントワーヌ・ド(著)/加藤晴久(注釈)(2006)『自分で訳す 星の王子さま』(三修社)

日本の書店の語学書コーナーにおいて、『星の王子さま』は大きな役割を果たしている。「英語で読む星の王子さま」や「フランス語で読む星の王子さま」なんてものはいつだってラインナップされている。それどころか「ドイツ語で読もう」「ロシア語で読もう」なんてものも出ているので『星の王子さま』の活躍っぷりにはまったく頭が下がる思いである。対訳で読むような本は多いのだが、本書は対訳はなしで、文法や語法の解説を詳しく収録している。持続可能な語学力をつけていくにはこちらの方が良いのは確かである。(2024/3/4)

ベアルド、クリス(2018)『フランス語作文ラボ ニュアンスで使いわけるための添削教室』(白水社)

フランス人の先生の手によって書かれた和文仏訳の本である。そのため、和文の訳しかたをあれこれ考えるというよりは、「ネイティブはこう言う」ということを中心に扱っている。口語表現を多く扱い、話者の気持ちや態度についてネイティブ目線で解説してくれている。そのため、私は小説を読むときにこのテキストを終えた後では、かなり登場人物の会話が生き生きしたものに見えてきた。どうでもいいが、やたら他人の恋愛についてあれこれ話してる文が多いような…。(2024/3/4)

六鹿豊(2016)『これならわかる フランス語文法 入門から上級まで』(NHK出版)

網羅的なフランス語の文法書で、最も気軽に手に入れることができ、最も読みやすい一冊である。このシリーズは他言語でも展開されているが、このフランス語版は他よりも一回り分厚く、内容もやや詳しい。かといって極端にマニアックな事項まで収録しているというわけでもないので、一般の学習者にとってちょうどいい内容である。基本的には通読用ではなく、困ったときのレファレンス用と考えるといい。(2024/3/4)

Stillman, David M/Gordon, Ronni L. (2023), “The Ultimate French Review and Practice, Premium Fifth Edition”, McGraw-Hill

英語で書かれたフランス語問題集は、これがいちばん使いやすい。フランス語で挫折しやすい最初のポイントは、直説法現在の活用だと私は思っている。規則動詞を学習した後は、不規則動詞が次から次に果てしなく出てくることになる。それらをまとめてやっつけるなら、本書のスタイルはなかなかいい。接続法の記述も特出すべきものがある。(2024/3/4)

単語帳

ヴェスィエール ジョルジュ(2019)『仏検準1級・2級対応 クラウン フランス語単語 上級』(三修社)

やはり準1級用としては単語が心細すぎるが、初級レベルを脱してフランス語の世界を旅したいなら必須レベルの単語を収録している。短いフレーズを暗記するだけでも十分アウトプットの練習になる。音声はディクテ用を意識してるからか、かなりゆっくりでリスニングの練習としては使いづらい。(2024/3/4)

鈴木文恵、アテネフランセ(編)(2022)『新 ゼロからスタート フランス語単語 BASIC 1000』Jリサーチ

単語帳で1000語収録というのは、少なく感じるかもしれないが、最初に手にするのはこのぐらいがいい。そしてこのレベルの基本語をしっかり理解しておくことは、レベル高い語彙を中途半端に知っているよりも遙かに語学力養成において重要である。この本はフランス語学習を進めていく上で重要な事項を余すことなく説明してくれている、最も貴重な単語帳である。すべてのフランス語学習者におすすめできる。(2024/3/4)

久松健一(2001)『《仏検》3・4級必須単語集』(白水社)

仏検対応の単語集である。スタイルとしては、短文にいくつかの重要語をまとめて収録しているという点で、さながらフランス語版「DUO」といったところ。単語の解説も結構詳しく、1冊覚えてしまうと初級フランス語はとりあえず身につけたといえるレベルだろう。(2024/3/4)

久松健一(2001)『《仏検》準1級・2級必須単語集』(白水社)

こちらは単語帳と、その単語を収録した短めの文章をまとめて収録している。さながらフランス語版の「速単」といったところである。これだけで準1級はやや心許ないが、普通にフランス語である程度読み書きができるようになるには必須のレベルである。(2024/3/4)

久松健一(2017)『フランス語の基礎をきちんと固める! 解いて力が付く久松式ドリル』IBCパブリッシング

この本は本来単語集ではないのであるが、単語集的な使い方もできるし、事実私はそのようにつかった。仏検対応と言うこともあるが、第2外国語教材としてはあまりない、語法までしっかり踏み込んだ教材になっている。以外にこういう教材ってないんですよ。(2024/3/4)

辞書

天羽均(2015)『クラウン仏和辞典』(三省堂)

学習者がよく手にする仏和辞典はこの「クラウン」か「プチ・ロワイヤル」が多いが、私はクランの方をずっと愛用してきた。ドイツ語でも使っていてなじみがあったのと、重要単語をわかりやすく色づけしていて学習しやすかったからである。大型の辞書ではないが、19世紀のフランス文学を読むのにも十分耐えうるほど中身はしっかりしている。(2024/3/4)

Picoche, Jacqueline (2015), “Le Robert, Dictionnaire étymologique du français”, Collection les usuels

フランス語の語源辞典で最も気軽に手に入る一冊である。詳しめの英語の語源辞典でカバーできることもあるが、やはりフランス語専用のものを1冊もっておくと心強い。ただし、語源の解説はそれほど詳しいわけではなく、せいぜいこのラテン語から来ているということが述べられるだけである点には注意。印欧語幹の話などは基本出てこない。(2024/3/4)

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