【第2外国語の語彙学習】そして私は辞書を読みましたとさ
第2外国語の単語をどうやって覚えよう。単語集もあまり売ってないし。
中級レベルに達するとこの問題が生じます。結論としては、辞書を上手く使うしかありません。今回は、英語以外の外国語を勉強するときに私が実践した語彙学習の方法を紹介します。
語彙学習には辞書を使う
第2外国語の語彙をしっかり身につけたいなら、道は一つだと思います。
それは、辞書を使うことです。
辞書を使って語彙学習をするというと、確かに一部の語学マニア向けの学習法のような響きがします。
しかし、うまく覚えるべき単語を選定しつつ効率よく単語を覚えていけば、それほど高いハードルではありません。少なくとも、単語を覚えない限り第2外国語の習得はあり得ません。
文法は比較的早く1周することができても、単語を覚える苦労は避けて通れません。日本人が第2外国語を学ぶとき、文法は(大学の単位に関わるので)なんとかひととおり学習しますが、単語を覚えません。
結果、第2外国語をある程度使えるようになって大学を卒業する人はほぼいない、みたいなことになります。以下では、語彙学習に辞書を使う理由を挙げておきます。
中級以上の単語集はほぼない
英語教材は世の中に溢れています。英検1級レベルとされる10000語レベルの教材ともなると数は減りますが、それでも一定数の教材が存在します。
一方で、第2外国語を学び始めて中級段階に入ってきたら、その教材数の少なさに直面します。
英語でいう「大学入試レベル」の語彙を扱った仏単語集すらほぼありません。(少なくとも私は体系的かつ網羅的な仏単語集を見たことがありません。)
一番学習者が多い部類であるドイツ語やフランス語の教材ですら、英語に比べたら遙かに選択肢は少ないわけです。
もちろん、単語集はあるにはありますが、そのほとんどが学習の初級段階用(A1-A2)のものです。中級用(B1以上)の語彙を効率よく、かつ網羅的にまとめているような教材はほぼありません。
書店にある「フランス語上級」とか「準1級用」というコンセプトのものでも、実際にはB2レベルの語彙をほんの少し含んでいるだけということが実情です。それだけニーズがないのだからしかたありません。
読書しながら単語覚えるのも限界
第2外国語の語彙学習として定番なのは、「多読をして、出てきた単語をひたすら覚える」というものです。
これはこれで非常に優れた学習方法ではあります。私も第2外国語で多読をするときは基本的にすべての分からない単語を辞書で調べて片っ端から覚えていきます。
しかし、それ単独では、「体系的かつ網羅的」に単語をカバーすることは難しいです。
重要単語がたまたま出てこない本を読んでいたなんてこともあるかもしれません。何より、多読ベースの語彙学習は必要語彙を網羅するまでには時間がかかりすぎます。
ある程度語彙力がついてくると、多読をしていても調べるべき単語はかなり減ってきます。たまに出てきた知らない単語がおよそ使わなそうな単語であるということだってよくあります。
こうした事情もあるので、多読ベースの語彙学習と並行しつつも、辞書を読んで覚えるということが必要になるわけです。
辞書はこう使おう
以下では、私がドイツ語やフランス語の中級レベル以上の単語を覚えるときに実践した学習方法を紹介します。
一見ハードルは高そうですが、しっかり手順を踏んでいくとそれほど苦しい道のりではありません。確かに英語の語彙学習ほど道はきれいに整備されていませんが、少しだけ工夫をするだけです。
まず辞書を用意
まず、私が語彙学習に使った辞書は、『クラウン独和辞典』『クラウン仏和辞典』(三省堂)です。
クラウン独和・仏和辞典
- 重要語を赤字で表示
- 赤字の単語数がちょうどいい
- 学習者向けの情報が多い
- 割とコンパクトで和独・和仏付き
ドイツ語とフランス語の辞書では『クラウン』が一番学習向きだと私は思っています。
ドイツ語の辞書は『アクセス独和辞典』も人気です。フランス語には『(プチ)ロワイヤル』の方が定番かもしれません。
しかし、学習用としては、『クラウン』が私は一番使いやすいです。実際、『アクセス独和辞典』も『ロワイヤル仏和中辞典』も私は持っているのですが、引きやすさ、情報のハイライトなどは『クラウン』がしっくりきます。
『クラウン』の7000語を覚えると
『クラウン独和辞典』『クラウン仏和辞典』では、重要語を赤字で示してくれています。この数が、全体で7000語ぐらいです。
これらの単語をすべて覚えれば、派生語などで「意味が分かる」という単語は1万語程度に近づくでしょう。
1万語の語彙力があるというのは、1つの言語をある程度自由に使うには申し分ない語彙力です。
実際、私は『クラウン独和辞典』の赤字の単語をすべて覚えてゲーテのB2(独検準1級相当)を受けましたが、知らない単語に出会うことはほぼありませんでした。
さあ、辞書でボキャビルだ
辞書をただ単に読んでいくというのは結構骨が折れるものです。私は、『クラウン独和辞典』の赤字の単語を1日に30語ずつぐらい、毎日ノートに書きためていきました。
『仏和辞典』を使っていた時も同様です。初級レベルの語彙2000語ぐらいを知っている学習者なら、この方法で、あとの5000語ぐらいを覚えていくことになります。
私はちょうど半年かけて、『クラウン独和辞典』の赤字の単語をすべて覚えました。
私の場合
ノートに書くのは以下の事柄です。
- 見出し語(当然)
- 発音記号(不規則のもののみ)
- 訳(当然)
- 派生語・類義語・対義語
ドイツ語とフランス語は綴りと発音が一致している言語なので、不規則発音の単語だけアクセントや発音記号を書きこみました。
私の工夫としては、派生語や類義語などの関連語をその度に書き込んでいったことです。これで、個々に独立している単語を関連づけながら覚えていくことが出来ます。
そうしているうちに、派生語の作り方の決まりや、類語のまとまりができていきます。それがあると、語彙学習は一気にはかどっていきます。
不安なときは辞書でその単語を引いて矢印で付け加えるという感じです。今度はその単語が見出し語として出てくるときにまた以前出てきた類義語を書き込んだりします。
要は、出版されてる単語集がすでにやってくれていることを、辞書を使いながら自分でやるわけです。このぐらいの根気は単語学習には絶対必要なものです。
辞書学習の強みと弱み
こうすることのメリット・デメリットは以下です。
メリット
- ノートに書く作業が記憶に残りやすくする
- 自分好みの情報を書き加えたりできる
デメリット
- 時間がかかる
- 見出し語はアルファベット順になる
大きなデメリットは時間がかかるということですが、ノートを作成するという作業が単語と親しむための時間だと思えばそこまで苦しくありません。
辞書を見ながら見出し語を書いていくので、どうしてもアルファベット順の単語がノートには並びます。これはどうしようもありません。
しかし、自分で単語ノートを作る最大のメリットは、「自分好みの情報を取捨選択できる」という点だと思います。発音が不安なものだけ発音記号を書き込んだり、用法が不安なものだけ例文を書き込んだりと自由です。
こうして、書いた単語は次の日に覚えて、翌日また復習して・・・という流れで私は復習しました。
まとめ 1ページずつ1語ずつ
辞書を読んで単語を覚えていくというやりかたは多くの学習者が実践しているやりかたです。
私は『クラウン』の辞書を使って、できるだけ最小限の労力で最大の効果を出せるように工夫したつもりです。
そもそも単語を覚える手段がないと思っておられる方は参考にしてみてください。
ここで紹介した語彙学習の先の段階もあります。赤字の単語をすべて覚えても、まだその言語の洋書を読んだら知らない単語には普通に出会います。
私はいつだって、辞書で調べた単語に「正」の字を書き込んでいくことにしています。
赤字を全部覚えた後で、何度も調べた単語なら、たとえ赤字になってなくてもノートにメモしておきます。
こうやってC1以上のレベルの語彙学習にもやっぱり辞書が使えるわけです。
結論、語彙学習には辞書を上手く使おう。
以上です。